院長インタビュー|入れ歯・噛み合わせ専門の富山県黒部の岩井歯科クリニック。

岩井歯科クリニック
岩井歯科クリニック
ここが知りたい! 「入れ歯専門歯科医院とは?」〜岩井歯科クリニック 院長に聞く〜

「こうなることは必然だった。」と彼は笑う。
周囲は「ただひたすら彼が真面目だったから・・・」と口々に語る。
平成21年5月、岩井歯科クリニックは「自由診療」のみ行う歯科医院へと舵を切った。
それは、既存患者の大量流出を意味する。

インタビュアー 先生は、診療体制を変えられることに対して「怖い」というお気持ちは無かったのですか?
院 長 「怖い」と思わなかったと言えば嘘になりますね。実際、どれだけの患者さんが残ってくれるのだろうかと・・・。ただ、今まで長いこと地道に診療を続けていく中で、少なからず患者さんとの信頼関係を築けているのではないかという自負はありました。
インタビュアー 自由診療専門となった「きっかけ」を教えて下さい。
院 長 平成2年に、地元黒部で歯科医院を開設した時は、保険診療を行う一般の歯科医院でした。
自分自身「患者さん一人ひとりを丁寧に診たい」という思いが強く、当時地方としては珍しく「完全予約制」の診療形態でスタートしました。「予約であるからにはお待たせしない」ということを徹底し、医院としては順調な滑り出しだったと思います。

ただ患者さんが増えてくると、それこそ朝早くから夜遅くまで診療漬け。夕食が夜食の時間帯、なんてことがザラでしたね。そうなると、スタッフを含め周囲がどんどん疲弊してくる。言葉は悪いですが、時間に追われて「患者さんがベルトコンベアのように目の前を通り過ぎていく」感覚でした。一体何をやっているのだろうと・・・。
「歯科医としてこうありたい」という理想と、現実との矛盾を常に感じていて、これを何とかしようと思ったわけです。
インタビュアー 現実との矛盾とは何ですか?
院 長 保険診療は、戦後から高度経済成長期の医療サービスが不足していた時代に、何とか全国民が医療の恩恵を受けられるようにと考えられた、素晴らしい制度だと思います。ただし、制度というからには、事細かな規則が設けられています。この規則の中で、決められた範疇の診療行為を行う、ある意味自由度に制限を加えられているといってもいいでしょう。
院長インタビュー
インタビュアー 診療に制限があるのですか?
院 長 どんな保険でも、例えば火災保険でもありますよね。ここまでは認めるが、それ以上は認めない。医療の場合でも国家予算も限られている中で、治療行為の回数が決められている、使用する材料にも保険適用・適用外のものがあるとか様々です。その他にも、もっと矛盾というか、歪みを感じていました。
インタビュアー 歪みとは?
院 長 患者さんに「最善の治療」を行いたい、しかし、医院経営もしていかなければならない、ということです。医療が、相反する側面を持っているということですね。
インタビュアー 具体的にはどんなことですか?
院 長 歯科の場合、言い方は悪いですが「歯を削ってナンボ」です。削って詰め物なり、被せ物なりを入れないと話にならない。つまり歯を削らない限り、お金にならないのです。言い換えれば、「できるだけ効率良く患者さんを診て、採算性を上げる」ことが、保険診療では必要になってくるのです。
実を言うと、私は「歯を削ること」が好きではありません。はっきり言って嫌いです!
インタビュアー 歯医者なのに・・・ですか?
院 長 こう言うと、皆さんビックリされますが本当です。
「歯を削りたくないのに、削らなくてはいけない」
「できるだけ患者さんと向き合って、丁寧な治療をしたい」のに、時間がない。
「歯が壊れていく過程がわかるのに、予防に対して保険がきかない」など、ないない尽くしで、理想と現実の狭間で、かなり葛藤していましたね。
インタビュアー 自由診療専門になったのは、ごく自然な流れだったということですか?
院 長 ここに至るまでには、かなりの決断が必要でした。「治療を必要としている人に、最善の治療を施したい」志を立ててはいても、実際行動に移すまでに20年近く掛かっています。最初は保険診療という枠の中でなんとかできないかと、もがいていたわけで・・・。
とりあえず最初は、医院の改革に着手し始めたのです。治療の質を上げるため、診る人数に限りを設けて、一人当たりの診療時間を長くするというように、どんどん環境を変えていきました。
患者さんとの信頼関係を高めることだけに集中したわけです。「きれいごと」と言われればそれまでなのですが、それでもやり続けようと決心していました。もちろん周囲の理解がなければ、できないことでした。
院長インタビュー
インタビュアー いつ自由診療専門でやっていけると確信できたのですか?
院 長 「核」となるものを見つけられたからです。
患者さんを傷つけることなく、自分自身をも傷つけない方法を。
インタビュアー それは何ですか?
院 長 歯科医院というところは、病気になる前の一歩手前の段階で、多くの患者さんと接することができる環境にあります。この段階で適切な治療や指導を受けることが、健康を維持できるかどうかを決める大切な時期となるわけです。つまり、「よく噛めて美味しく食事ができること」が健康の証であり、歯はその大事な役割を担っているわけです。
患者さんの中で、最も切実な思いで来院されるのは、「うまく噛めない」と咀嚼障害を訴える「入れ歯」の患者さんだということに気がついたのです。そして自然に「総入れ歯」を中心とした「入れ歯」作りに傾倒していきました。入れ歯の技術があれば、患者さんの歯をたくさん削ったり、インプラントで傷つけたりしなくてもいい、わけですからね。
やりたくもない仕事を、しなくても良くなったわけです。(笑)
インタビュアー 先生は「インプラント」をされないのですか?
院 長 行いません。「インプラント」は必ず外科処置をしなければいけない治療です。外科手術は一旦行われると、元の状態に戻すことは不可能です。歯を削るのが嫌いと言っている人間だったら、尚のことやりません。
私は無い所に、何かを構築していくことが好きなのです。
インタビュアー 自由診療で、最初から軌道に乗っていましたか?
院 長 移行後の3年間はかなり苦しいだろうと想定していました。どれほどの方が理解を示して下さるか、分からなかったからです。最初の質問にもありましたが、既存患者の流出は避けられないだろうし、2割残れば良い方だとも考えていました。自分で決めたこととはいえ、相当苦しかったです。
インタビュアー 失礼ですが、大都市圏ならいざ知らず、「富山県という保守的な土地柄でよくやり抜かれた」というのが率直な印象なのですが・・・。
院 長 ありがとうございます。
当院は現在、「1日にお一人」もしくは「半日にお一人」しか診ておりません。
それだけ歯科治療は繊細で難しく、時間を要する仕事なのです。
特に「入れ歯」製作となれば、尚のことです。その考えにご理解・ご賛同いただいた患者さんが徐々に増え、当院を支えてくださっているのです。
院長インタビュー
インタビュアー 「入れ歯」を作るのに、そんなに時間が掛かるのですか?
院 長 「入れ歯」作りは、いかに患者さんの情報を多く集めるかに掛かっています。
歯茎や「咬み合わせ」の型採りをはじめ、顎の関節の形状や動きはどうなっているか、舌や筋肉の状態は?など徹底的に調べます。どの項目も疎かにできないのは、精巧な「入れ歯」になればなるほど、一つの誤差が大きな影響を及ぼしてしまうためです。
ですから、患者さんから見えないところ、つまり治療後の技工作業に相当時間が掛かっています。
なんと言っても全て、「手作りのオーダーメイド」ですから。
患者さんがご来院される前にも、準備が色々ありますからね。
インタビュアー 先生が作られるのですか?
院 長 はい、もちろん私が作ります。
患者さんの「入れ歯」は一人として同じ物はありません。全て違った仕上がりになるのです。
ですから、「咬み合わせ」の肝となる、「入れ歯」の人工の歯を並べる作業も、歯科医師である私自ら行っています。私自身「咬み合わせ」については相当こだわっていますので、人には任せていないのです。
インタビュアー 先生が、そこまでされるというのも珍しくないですか?
院 長 珍しいと思います。
大多数の歯科医院は、技工士に「入れ歯」の製作を全て任せているのが普通です。
技工士は直接患者さんと接しないため、情報量が少なく、歯科医師からのかなり詳細な指示がない限り、画一的な入れ歯を製作せざるを得ない場合が多いのです。
一方、「入れ歯」に精通したドクターが、直接患者さんから得られた情報を反映して作ったものは、より患者さんの個性にあった入れ歯を作ることができると考えています。
もちろん、私が技工をすることが好きで、こだわっているということも関係しています。
院長インタビュー
インタビュアー 最後に、皆さんへ伝えたいメッセージがあればお聞かせ下さい。
院 長 多くの歯を失った方は、いろいろなことに失望されたり、諦められたりすることが多いと感じています。
ですが、私は「入れ歯」によって生きがいを取り戻していただきたいと思っているのです。なぜなら、「入れ歯」作りは人生を楽しくするためのものだからです。
「歩くこと、食べること、生きること」この3つは、全て同じ次元で動いています。この内の一つでも衰えれば、他の二者も同様に衰えていくのです。

本当に合った入れ歯は、ご自身の身体を支えることができます。
ひいては、介護予防・寝たきり予防につながるものと考えます。
食に対する希望が、人生に対する希望につながり、人生の若返りにも繋がっていくと、私は信じているのです。
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